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鼠志野沓茶碗の優品で裏千家十世認得斎書付箱に納る「銘 唐錦」である。
轆轤水挽成形の後、箆削りを入れて器面に変化を付けている。特に胴部中央やや上部に胴紐廻しをし、ごく低い巾狭の稜線を一周させている。また腰際には沈線を入れ廻している。底面の一部を残して器全面に鬼板(鉄奬)を塗り込め、鋭利な細箆で文様を掻き落とし、この稜線をまたぎ上下に七個の亀甲文様を描いている。


またこの裏面には荒く檜垣文を描き出している。この茶碗の見所は、やはり厚く掛かった志野釉による鼠志野特有の色見の変化と、そこに見える亀甲文様の茶碗の際立った存在感であろう。また本茶碗は沓形の口縁から見える広く深い見込と茶溜りが窯変により趣き深い景色を作り出している。その他、器体底面の高台周辺を三角形に広く土見せにし、高台周辺には柔らかな百草土が見られ、土見を充分に意識した釉掛けで、そこにある高台はやや高くし、畳付は箆を廻して二重高台としている。
この様に多くの見所を持った希少で古格ある志野茶碗である。
本茶碗の「銘 唐錦」は、唐織能楽衣装の意匠絵柄にある亀甲文様から発想した銘名とも思われる。

 

【参考】裏千家十世認得斎宗室(1770~1826)
石翁の長男。幼名与三郎、のち粂三郎。三十五歳で家元を継承。加賀藩、伊予藩に茶道奉行として出仕。文政九年八月二十四日、五十七歳で没。
伯叟の 号がある。妻は松室宗江といい、洛北貴船の名家舌家(ぜつけ)から入り、十一世玄々斎の養育に尽した。
門下に前田瑞雪・西村宗通・藤井宗元・福島宗感・錦地玄良らがいる。
好みの茶道具に夕顔彫切合風炉・夕顔棗・折尭柳棗・一閑張三日月香合・扇面香合などがある。

古鼠志野亀甲文茶碗「銘 唐錦」

¥1,000,000価格
  • 時代        桃山~江戸初期
    口径        13.7x12.0cm
    高さ        8.5cm
    高台径        6.7cm
    付属品        時代桐箱(裏千家十世 認得斎書付)
    その他        縮緬仕覆・更紗包布

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