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桃山時代後期以降に数多く作られた織部茶碗の内でも特に類例の少ないのが一品物の志野織部茶碗である。
口部に強いアクセントを付けた織部沓茶碗の典型的な形をした茶碗である。
轆轤水挽成形後、三方形に近い扁平楕円形と言うべき形に大きく変化させており、口縁周りは大きく波打つ様に動きを持たせ、外に開いている。
口縁から胴央部周りを二重の轆轤目で大きく凹状に引き締めており、意表をつく面しろ味に加え手持ちを良くする工夫としている。また、腰際周りにも鋭く箆溝彫を廻している。
高台はやや小さく中央部を膨らませた低い削り出し高台で、高台周辺は大きく箆削りで整形をしている。

 

長石灰釉が全体によく掛かり、白地にした胴の一方には風流笠を中心に、左右に矢羽根文を描き、片一方には扇立した矢羽根文を描いている。
器の見込は広く、貫入が全体に細かく走り、中央部には浅く茶溜りを作っている。
また口縁山路面には、等間隔に広細の線文様を描き趣向ある器としている。

 

【参考】志野織部
志野を冠して織部焼の名称が細分化するのは昭和十年以降のことであるが、広くは織部焼に含まれるものである。
連房式登り窯である元屋敷窯以降の志野を大窯期の志野と区別して志野織部と呼んでいる。
轆轤水挽成形も器面に凹凸を少なくし、滑らかに丸味を持って立上げ、年代的にもより新しい要素が感じられる。
鉄絵のタッチも繊細になり、釉薬も透明度を増していく。特に量産性を重視した向付等の食器類が主となって行く。

志野織部矢羽文沓茶碗

SKU: 0023
¥750,000価格
  • 時代        桃山~江戸初期
    口径        15.3x12.0cm
    高さ        6.8cm
    高台径        5.7cm
    付属品        時代屋久杉箱・縮緬仕覆・更紗包布
    その他        --

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